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経済法あてはめ演習60選(日本語)Antimonopoly Act  Exercise 60 Cases

情報革命についてのエッセイとゴシップ(日本語) Essays and News on Information Revolution

論文とエッセイ(日本語)Theses and Essays

 

 

ABM論争の構造分析

新防衛論集(防衛研修所)v. 2, n.3 (1974年10月) pp. 30-47 

本間忠良  

目次

再掲にあたって
序論
 1.プロローグ
 2.論争の行動科学的処理
 3.争点分析
第1部 センチネル
 4.第2段階−−妥協の時代
 5.第3段階−−最初の攻勢
第2部 セーフガード
 6.第4段階−−ABM変身す
 7.第5段階−−失われた科学
結論
 8.フレキシブル・システム
 9.エピローグ


再掲にあたって

 共和党は、約20年おきに、ミサイル迎撃熱にとりつかれる。1960年代ニクソン政権のABM展開、1980年代レーガン政権のスター・ウォーズ構想、そして現政権のNMD/TMD計画である。

 私が四半世紀以上前に書いた論文をここに再掲することには、大きなためらいがあった。しかし、それが緊急に必要になった。というのは、いま、ブッシュ政権で、NMD(国家ミサイル防衛)/TMD(戦域ミサイル防衛)両計画を推進しているチェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官(2006年10月更迭)が、当時、ニクソン―フォード政権内部で、ABM(弾道ミサイル迎撃)計画に深く関与していたことに気づいたのである。フォード政権で、チェイニーは大統領主席補佐官、ラムズフェルドは史上最年少の国防長官だった。彼らの(そして私の)若き日の白昼夢が、突然、いまよみがえってきている。

 論文を読んでいただけるのなら、その前に、1960-70年代のABMと、いま論議されているNMD/TMDの最も決定的な違いをここで強調しておいた方がいいだろう。ABMは核弾頭を持っており、敵ミサイルの至近距離で爆発させて、中性子線またはX線で敵弾頭の電子部品を焼き切ろうという構想だった。これが大衆の反核感情に火をつけた。そのことがよくわかっているラムズフェルドの構想によるいまのNMD/TMDは、核弾頭を持たず、敵弾頭をダイレクト・ヒットする。反対派の最後の(かつ最大の)論拠が奪われている。

2001年5月25日 本間忠良


序論

.プロローグ

 アメリカにおけるABM(antiballistic missile ミサイル迎撃ミサイル)の本格的開発は、1956年のナイキ・ジュース・ミサイルにはじまる。 以来、1972年のSALT-Iによっていちおうの終止符がうたれるまでの16年間にわたって、このABM展開の是非をめぐり、アメリカの世論を2つに割った大論争が展開された。第1図は、この時期におけるABMの進化を図示したものである。

第1図

システム ナイキ・ジュース →
(1956-1962)
ナイキX →
(1962-1967)
センチネル →
(1967-1969)
セーフガード →?
(1969-1972+)
レーダー 索敵レーダー 多重機能レーダー 同左 同左
識別レーダー ABM基地レーダー 同左 同左
標的追尾レーダー 同左 地平索敵レーダー 同左
ABM追尾レーダー 同左 同左 同左
機械的に旋回操作されるため重攻撃に対処できない 電子的に操作できるので左の弱点は克服されたが、多重機能レーダーはきわめて高価 地平索敵レーダーはカナダ国境に5基、ABM基地レーダーは各基地に配備 SLBM(潜水艦搭載核ミサイル)に対処するため、地平索敵レーダーを2基、東西海岸に配備
ABM弾頭 中性子 同左 -- --
-- -- X線 同左
弾頭の核爆発によって出る中性子ビームで敵弾頭を誘爆させる。遠距離では無効 同左 核爆発によって出るX線で、敵弾頭金属表面を発熱させ、電子部品を焼いてしまう 同左
ブースター ジュース 同左 -- --
-- スプリント 同左 同左
-- -- スパルタン 同左
遅い、そのため、大気圏外ながら比較的近距離で迎撃。 高加速のスプリントを加え、ジュースが仕損じた敵弾頭を頭上大気圏内で捉える2段構え スパルタンは放物線頂点近く(大気圏外)で迎撃。スプリントは地平索敵レーダー防衛用 同左
防衛面積 点防御 同左 -- --
-- -- 面防御 同左
防衛面積狭く、1都市しか防御できない。そのためABM基地を各都市に配置 同左 14基地で全米をカバーする。基地が都市近郊にあるため、「裏庭に原爆」と騒がれた 12基地で全米をカバー。基地は「裏庭」から出ていって、ミニットマン基地に置かれる
防衛対象 都市 同左 同左 --
-- -- -- 基地
-- 頭上で核迎撃するため、放射性降下物シェルターが必要 都市防衛は核抑止を無効にし、かえって核軍拡を招くと非難された 基地防衛に転じたため、左の弱点は克服。とりあえず、グランド・フォークスとモールストラムICBM基地に配備
仮想敵 ソ連 同左 -- ソ連
-- -- 中国 --
弱点 ブラックアウト 同左 同左 同左
核爆発によって出きる巨大なイオン球がレーダーを一時的に盲目にしてしまう 同左 同左 同左
おとり 同左 同左 同左
軽いおとりは大気圏再突入の際識別できるが、大気圏外迎撃のジュースでは対処できない スプリントで対抗 同左 同左

.論争の行動科学的処理

 本稿の目的は、とくに、論争が大きな政治問題となった、いわばABM論争の総決算の時期である1967年から1969年夏までの2年間を中心に、そこで提示された争点を、とくに、論争の指導的地位を占めていた科学者グループの言動に注目しつつ、分析的に記述することである。より具体的には、このABM論争の分析によって、これほどの専門性を持った政策をすら、大衆討議にかけることによって、巨大な思考実験をおこない、最適解を得ようとするアメリカン・デモクラシーという政策決定システム(見方によっては衆愚政治と映るかもしれないが・・)を検証することである。

 論争をできるだけ客観的に−−むしろ機械的に−−処理するため、まず、準備作業として、論争の過程で現れてきた争点を、有意味なかぎりで最小の(つまり、これ以上小さくすると意味を失ってしまう)単位要素に分解した。

 この処理の目的は、形態や長さの異なる文章ーーたとえば社説と投書−−を等価で比較しようというところにある。この方法は文章のスタイルや修辞による読者の情緒的反応を検出できないし、また複雑な論理を追跡するにも適当でない。しかも、この方法が真に数量的分析であるためには、1つ1つの単位要素に対して、適当な心理実験によって、それぞれ一定の価値が与えられなければならない。

 しかし、とりあえず、少数の事例について試験的に分析をおこなった結果、賛否双方の主張が比較的単純な論理から構成さているこのABM論争については、この方法がかなり有効に利用できることが判明した。

.争点分析

 論争の内容を標準様式に記録するため、第2図のような争点記録カードを考案した。

第2図

ABM争点記録カード No.      671226
氏名 Bethe, Hans A. 取材源 New York Times, 67-12-26, p. 28
科学者 発言の資格 私人(投書等)
 科学者以外  公人(議会等)
判断 賛成・反対の理由・条件
低次の理由・条件 高次の理由・条件
ABM一般 独立の理由・条件←従属の理由・条件 結論的な理由・条件←独立の理由・条件
 賛成
 反対
 判断なし -- --
センチネル 独立の理由・条件←従属の理由・条件 結論的な理由・条件←独立の理由・条件
 賛成 202 123←202/123
 反対 123←100/105/106
 判断なし -- --
セーフガード 独立の理由・条件←従属の理由・条件 結論的な理由・条件←独立の理由・条件
 賛成
 反対
 判断なし -- --
補足:攻撃を受けた側に対して報復手段を与えないいかなる戦略も危険である。いちばん重要なのは、
核戦争による死傷者をいかにして少なくするかではなく、そのような戦争をいかにして避けるかである

 このカードは、ある人の主張(本稿の場合は、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された投書、寄稿、論説、社説、特定の記事)を、対象(ABM一般、センチネル、セーフガード)、判断(賛成、反対)、賛成または反対の理由・条件(数個の理由・条件の間の主従関係が矢印で示される)に分けて、チェックマークとコード番号を使って記録するものである。補足--代替提案等は、主張のニュアンスを保存するため、抜粋の形で記録される。

 争点の単位要素にコード番号を付して第1表に示す。

第1表 ABM争点シンボル・コード表−−理由・条件

技術的または戦略的シンボル

100 おとり

101 MIRV(multiple, independently targeted re-entry vehicle 多弾頭核ミサイル)

102 SLBM(submarine-launched ballistic missile 潜水艦搭載核ミサイル)

103 ミサイル精度

104 コンピューター性能

105 レーダー性能

106 X線防護材料

107 プログラム修正可能弾頭(reprogrammable RV 発射後でも標的を変えることのできる核弾頭)

108 戦略基地防衛

109 ミニットマン・サイロの強度

110 技術的不確定性

111 高度技術攻撃(sophisticated attack おとり、電波撹乱、MIRVなどを使った複雑な構成の攻撃)

112 敵ICBMによる飽和(saturation ABMよりも数的に優勢なICMBの攻撃)

113 敵ICBMとの費用交換比較(cost exchange ratio 費用交換比=ある防衛を克服するための攻撃側の費用増加分/その防衛に要した費用。要するに、「高価なABMシステムをいくら作っても、敵は安いICBMを増強して防御を圧倒してしまうだろう」という主張の根拠」)

114 敵の第1撃能力

115 味方の第2撃能力

116 薄い防御(マクマナラがセンチネルを「中国の脅威に対する薄い防御」と規定したもの)

117 核戦力均衡(nuclear parity)

118 ソ連の脅威

119 中国の脅威

120 敵のABM

121 フレキシブル・システム(ABMシステムが、外的条件の変化に対応して変化しうる柔軟なシステムであること) 

122 最小防護(minimum protection ABMによる都市防衛の論拠:ABMの性能が不十分であっても、ないよりはましだという議論のこと)

123 防護力一般(漠然と、ABMの防護力が十分だとか不十分だとかいう議論のこと)

124 敵の偶発攻撃(誤解や誤操作によるミサイル発射)

125 伝統的核抑止(都市を無防備にして、報復戦力を防衛するというアメリカの伝統的核戦略)

経済・政治・社会的シンボル

200 機密情報

201 国内諸施策との費用便益比較(「同じ金を使うなら、大砲よりバターを」という議論のこと)

202 軍拡競争

203 硬質社会(hard society 戦時体制のような強権統制下にある社会−−核シェルター論争の際に使われた言葉)

204 軍縮交渉

205 他の防衛手段との費用効果比較

206 核シェルター(blast shelterとfallout shelterの2種ある)

207 外交交渉力(bargaining position)

208 生存(survival 高い情緒的効果を狙った言葉)

209 放射性降下物(fallout)

210 核爆発事故

211 休戦気分(detente)

212 産軍複合体

213 反共和党ミサイル(anti-Republican missile ABMが共和党の選挙対策だという非難)

 これらのシンボルは、すべて、中立の価値を持ったコトバで表現されている−−つまり、1つのシンボルを、ABM賛成の理由にも反対の理由にも使うことができるのである。たとえば、「レーダー」というシンボルは、「レーダーが信頼できないからABMに反対だ」とも、「レーダーが信頼できるからABMに賛成だ」とも使える。

 第2図のカードは、1967年12月26日のニューヨーク・タイムズ第28ページに掲載された高名な物理学者ハンス・ベーテ博士のインタービュー記事を記録したものである。博士は、センチネル・システムに反対の態度を表明している。博士は、その理由として、(1)ABMは軍拡競争を引き起こす(202)、(2)おとり攻撃に対処できない(100)、レーダーの性能が不十分(105)、敵弾頭がX線防護材を使うだろう(106)、したがって、ABMによる防御は効果が薄い(123)--という2つの理由を挙げているが、(2)の方が主要な理由である。博士は、代替案として、無防備都市+報復戦力防備という伝統的な核抑止への回帰を提案している。

 この分析の取材源として、ニューヨーク・タイムズを選んだ。この方法の利点は、前述したように、種々のスタイルの文章を等価で比較できるという点にあり、また、弱点は、複雑な論理を扱えないという点にある。このため、通常、きわめて速く読まれ、複雑な論理を敬遠する傾向のある新聞を、分析の対象としてかえって好都合と考えたのである。

 ニューヨーク・タイムズ中からABMに関する文章を探しだす際にとられた基準はつぎのとおりである。(1)投書、投稿、社説、または特定の個人の意見を報道する記事(たとえばインタービュー)で、(2)ABMに直接関係があり、かつ、(3)論者の立場(賛成か反対か)が明示または黙示されているもの。

 予備研究の段階で、ニューヨーク・タイムズ紙上に掲載されたこの種の文章の頻度を月ごとに合計してみた(第3図)。その結果、意外なことに、1967年以来、ABM関係の文章の掲載頻度には、はっきり区別される5つのピークが見出された。それぞれのピークを第1段階から第5段階まで命名して、関連事件の年表とともに示してある。

第3図 ABM関連文章掲載頻度・主要事件

段階 事件
66 12 9 第1段階 --
67 1 2 --
2 - -- --
3 - -- --
4 - -- --
5 - -- --
6 - -- --
7 - -- --
8 - -- --
9 8 第2段階 9-18マクマナラ演説:対中国ABM
10 - --
11 - 11-5センチネル命名
12 12 --
68 1 12 --
2 - -- --
3 - -- --
4 - -- --
5 - -- --
6 23 第3段階 6-6ロバート・ケネディ暗殺、6-24センチネル上院通過
7 10 --
8 2 --
9 - -- --
10 - -- --
11 - -- ニクソン大統領当選
12 5 第4段階 「あなたの裏庭に原爆が」キャンペーン
69 1 18 --
2 16 2-6センチネル発注一時停止、2-12国防省声明:センチネルはフレキシブル・システム
3 4 3-4反ABM科学者ストライキ、3-14大統領決定:セーフガード
4 8 第5段階 --
5 22 5-12科学的精密性呼びかけ、反撃始まる、5-23ウォールステッター・ラスジェンス論争
6 12 --
7 8 --
8 - -- 8-7セーフガード上院通過
9 - -- --
10 - -- 10-3セーフガード下院通過

 3年分(1967年初から1969年末)のニューヨーク・タイムズを通読し、そこに掲載されたABM関連文章57項を記録、分析した(第2表--稿末--1つの文章が複数の争点を掲げることがあるため、文章数より争点数の方が多い)。

第1部 センチネル

.第2段階--妥協の時代

 ナイキ・ジュースが本格的実験の段階に入った1961年から、マクマナラ国防長官が、中国の潜在的脅威に対する薄いABMシステム(のちにセンチネルと命名)を展開する意図をあきらかにした1967年にいたる7年間、ABMに関する議論のほとんどは、技術的ないしせいぜい経済的アプローチのものにとどまっていた(ごくまれに--とくに核シェルターに関して--味方の防衛とそれに対する敵の反応を、いずれも予測レベルで相関させるという、戦略的思考の萌芽がみられた程度にすぎない)。

 センチネル・システムは、1968年の大統領選を前にして、ジョンソン政権が、ソ連のミサイル増強に強い警戒心を抱く共和党タカ派と、ABMが軍拡競争の口火となることをおそれる民主党ハト派の両方の口封じをはかった政治的防衛だったといわれる。センチネルが、中国からの単純な構成のICBM攻撃に対処するものだ(ソ連からの高度な攻撃に対抗するものではない)というマクナマラの立場と、センチネルが、より強力な防壁への「最初の1つのレンガ」だというジョンソンの態度が結びついて、やっと左右両翼からの攻撃に対するきわどいデフェンスができあがっていた。このセンチネル・システムは、長年にわたるABM開発の泥沼から足を洗おうとするマクナマラ式妥協の最後の試みだったといってもいい。

 論争の第2段階(1967年9月―1968年1月)の特徴はつぎの5つである。

 (1) もっとあとの時期にくらべて、科学者グループと科学者以外のグループの主張の区別がはっきりしない。実際、両者が提起している争点の数もそれほど違わず、内容的にも奇妙なくらい一致している。

 (2) 第2段階でとくに目立つABM反対の理由は、センチネルが敵の”おとり”を処理できないのではないかという懸念であった。ここで、1つ興味深いことは、こんどのセンチネル・システムが、おとりを含む高度な攻撃に対抗できるとは、もう、だれも言っていないのに、ABM反対派が依然として旧来の争点を掲げていることである。これ以後、このセンチネル・システムは、反対派の論点を1つ1つ回避しつつ変貌を遂げていく。このようなフレキシビリティこそが、センチネルからセーフガードにいたるこの期のABM計画の最大の特徴なのだが、政府側が批判をかわしてシステム設計を変更するたびに、反対論者側の上のような反応の遅れが−−とくに科学者グループの方に−−これ以後も繰り返し観察される。このことは、この時期のABM論争の構造を解明する1つの鍵となるものである。

 (3) ”敵ICBMとの費用交換比較”は、この第2段階で最も多く論じられた。この段階以前は、ほとんど直感的に、費用交換比はABM側が決定的に不利とされていたのだが、この段階に入ってはじめて、より厳密な計算にもとづいて、ABM側に有利な評価も現れてきた。

 (4) ”他の防衛手段との費用効果比較”も、この第2段階において最も多く、ABM反対論の根拠として使われた。この場合、「他の防衛手段」には、防護されたミニットマン・ミサイルや、ポラリス・ミサイルが含まれる。このシンボルは、のちにより包括的な(したがってより情緒的な)”伝統的核抑止”への回帰というシンボルに吸収されることになる。

 (5) ”国内諸政策との費用便益比較”というシンボルは、大砲とバターを比較するという点で、かなり主観的な要素を含まざるを得ないのだが、それだけに、国内政治上の種々のインタレストと結びつきやすく、高度に政治的なシンボルといえる。これは第1段階(1966年12月―1967年2月)にもみられたが、第2段階以後、高いレベルを持続している。

 第2段階では、ABM反対の論拠は、依然として、技術的または経済的レベルのものが大部分を占めている。ABMを政治目的に使おうという動機づけは、歴代大統領の中でもとくに政治的妥協の達人だったジョンソン大統領の側に多く観察される。

.第3段階−−最初の攻撃

 ロバート・ケネディの急死と同時に、ABM論争は、突如として、大きな政治問題と化した。ABM反対の論拠のいくつかは共和党の側から提出されているが、それ以上に民主党内ハト派からののものが多く、この論争の超党派的性格を物語っている。

 この第3段階(1968年6月―9月)におけるABM反対論には、つぎの6つの特長がある。

 (1) センチネル・システムが、おとり、電波妨害、MIRVなどを使った”高度技術攻撃”に対抗できないという、科学者グループからの批判が、この段階で最も多く出されている。この批判は、”中国からの脅威”が、1970年代中期までにはかなり高度化するという判断と強く相関しており、センチネル展開に関する現在の決定が、将来の敵の能力の予測値にもとづいてなされるという、現代戦略論の基本的考え方の1つがここに示されている。

 (2) 上と同様の判断が、より包括的な、したがって政治的にはより有効なシンボル”防護力一般”にも現れている。その争点は、第2段階以来、増加傾向にある。

 (3) ここに、ABM論争の全期間を通じて最も重要なシンボルの1つが出現する。”フレキシブル・システム”である。このシンボルは、将来における敵の攻撃能力と、同じく将来における味方の防衛能力とを一義的に確定することの困難さを強調する”技術的不確定性”の非難に対して、ジョンソン政権によって考案された(ただし、マクナマラは反対した)ものである。このフレキシブル・システムというのは、本来、高度に戦略的な概念なのだが、反対派は、これを「調達予算が自然膨張する」という悪意に取ったため、議論は全くかみ合わなかった。

 (4) 伝統的な反戦シンボルである”軍拡競争”が、この第3段階で急増している。つまり、お互いに都市を無防備にしておくことによって(いわば、自国の都市を敵に人質にいれることによって)保たれていた戦略的均衡が、ABMの都市防衛によって破れ、矛と盾のあいだにラセン状の軍拡競争が起こるというのである。マクマナラが、センチネル・システムは、ソ連の高度な攻撃に対処するものではなく、中国の幼稚な技術による攻撃に対処するものだと繰り返し強調したのも、一部はこの配慮にもとづくものであった。

 (5) 党派的色彩の強いシンボル”反共和党ミサイル”という非難は、この第3段階に特有のものであって、高度の技術的・戦略的知識を持ってはじめて十分理解することのできるABM問題が、1968年の大統領選挙を契機に、いよいよ党派政治の日程に上がってきたことを示す。

 (6) ”休戦気分(detente)”というシンボルは、「戦争があってほしくない」という願望が、「戦争がなくなった」という判断に飛躍してきた状態を示す。このシンボルは、ABM論争のすべての段階を通じて出現し、ABM不要論の底流をなしていた。

 全般的にいって、ABM論争の第3段階は、大統領選を控えて、かなり強く政治的な色彩を帯びてはいるが、ここでいう政治とは、依然として、職業的政治家によって追及される党派政治にとどまっていた。

第2部 セーフガード

.第4段階−−ABM変身す

 第4段階(1969年1月―3月)は、ニクソン新政権が、このトラブルからの出口を絶望的に模索していた時期にあたる。この段階の特徴は、まず第1に、科学者グループが、未曾有のスケールで、反ABM運動のために動員されたことである。高度に情緒的なシンボルが科学者グループによって使用され、ついには若干の都市で住民運動を組織するところまで行った。科学者グループによるストライキ、手紙キャンペーン、新聞広告などが繰り返された。

 反ABM運動の指導者としては、エドワード・ケネディ上院議員の名が特筆に値しよう。ニューヨーク・タイムズは、ケネディ一家と反ABM科学者との興味深いつながりを指摘している(1)

 上院では、2つの有力な委員会が権力闘争に入っていた。上院の外交委員会と軍事委員会である。外交委員会は、自己の権限を拡大解釈して、軍事とくにABM問題を審議事項に取りこんでいた。一方、従来、軍事問題に関するかぎり、他の追随を許さない権威を有していた軍事委員会は、今度ばかりは、防戦に追いこまれていた。ニューヨーク・タイムズによれば、「ABM反対論者の多くは、同時に、ベトナム反戦論者でもあった」(2)

 この第4段階において、本稿の目的にとって重要な意味を持つ3つの政府決定がなされた。

 (1) 1969年2月6日、センチネル・システムの発注が一時停止された。反ABM運動の盛り上がりを警戒した政府の宥和策である。

 (2) 同じ日、ニクソン大統領は、記者会見の席上、センチネルが、単に中国からの脅威に対抗する目的だけのものではなく、全般的に国の防衛能力を高めるためのものだと言明している。この言明は、対ソ宥和と国内的考慮の妥協を排し、前者の犠牲において事態を収拾しようとするニクソン一流の決断であった。この態度は、当然、対中国ABMという弁明で一時は回避できたかにみえた”防護力一般”と”軍拡競争”という2つの争点を復活させることになった。

 (3) 1969年2月12日、国防省スポークスマンは、センチネルが将来、「より複雑なシステムに成長していく」性格のものであると言明した。この場合も、また、ニクソン大統領は、”フレキシブル・システム”に対する批判を承知の上でこの言明をおこなったのであり、この場合も、ABM反対論と正面切って対決しようという意図が読み取れる。

 この第4段階で提起された争点のうち最も華やかな効果をあげたものは、都市近郊に展開された迎撃ミサイルの”核爆発事故”に対する恐怖である。この争点は、すぐ、きわめてセンセーショナルなキャッチ・フレーズに転化した。いわく、「あなたの裏庭に原爆が・・」。このシンボルは、第4段階に特有のもので、政府をセンチネル発注の一時停止に追い込むほどのはたらきをした。

 ”フレキシブル・システム”、”防護力一般”、”国内諸施策との費用便益比較”、”軍拡競争”の各シンボルが、依然高水準を維持している。

 1969年3月14日、ニクソン大統領は、センチネルを改良した新システムの展開を決定した(のちセーフガードと命名)。あたらしいセーフガード・システムの目的は、つぎの3つである。

 (1) きたるべき10年間に予想される中国からのいかなる攻撃にも対処できること。

 (2) ソ連による「非理性的または偶発的攻撃」から国民を守ること。

 (3) 国の抑止戦力を守ること。

 議論の多いフレキシビリティ問題に関しては、このシステムが、敵の脅威の大きさについての諜報データと、システム自体の技術的開発と、軍縮交渉の成り行きとによって、拡大も縮小もできるものだと説明されている。「展開の各段階は、その時点で予想される適の脅威に対抗し得るレベルを維持するため、不断にチェックされる」(3)

 .第5段階−−失われた科学

 大統領がABMに「進め」の信号を出したので、反ABM運動は、その標的を上院に転じた。第5段階(1969年4月ー8月)は、科学者運動の凋落と、科学的方法にもとづく戦略論の登場を特徴とする。

 セーフガードがフレキシブル・システムだという政府の説明は、(1)セーフガードが”高度技術攻撃”に対抗できない、(2)”中国からの脅威”に対してさえ不十分だ、(3)”防護力一般”において不安だ、(4)”軍拡競争”を誘発する、というABM反対派の有力な論拠を一掃してしまった。セーフガード・システムの目的が、都市防衛から”戦略基地防衛”に大転換したため、あの扇情的な”核爆発事故”も姿を消した。

 その代わり、”敵の第1撃能力”と”機密情報”という2つの重要なシンボルが出現した。前者は、1970年代中頃までにソ連の第1撃能力がどれほどになるかという計算に関し、ウォールステッター博士が、ラップおよびラスジェンス両博士の計算ミスを指摘したところからはじまる。ソ連の全面核攻撃がアメリカのミニットマン基地に加えられた場合、ミニットマンの生存率が、ラップ博士によれば約75%、ラスジェンス博士によれば約25%だが、ウォールステッター博士によれば約5%しかない。この論争は、議会の公聴会からはじまって、OR専門誌に移り、ついにはニューヨーク・タイムズ紙上でまで争われた。ついでにいえば、ラスジェンス博士は、第4段階における反ABM科学者運動の指導者の一人であった。第4段階でみられた擬似科学的扇動に対して、科学本来の精密性を要求するこの論争は、一種の熱さまし的役割を果たしたといえる(4)

 ”機密情報”というシンボルは、上の論争で受身に回らざるを得なくなった反ABM科学者グループが、議論から抜け出すために、「自分の方には機密情報が与えられていない」といいたてたものである。

 「このまま論争を続けては、大統領の”外交交渉力”を弱める」という言い方は、アメリカ政治史上、危機に陥った大統領を救うため、たびたび使われたものである。今回ニューヨーク・タイムズの社説に現れたこの主張は、動機は愛国心から出たにせよ、論争の質を低下させるのに一役買ったのは否めない(5)

 ABM擁護運動が組織され、退却していく科学者グループの上の政治的報復がおこなわれた(6)。論争は混乱と分裂に陥った。「昨年以来のABM論争の中ではじめて、上院の超党派反対勢力が受身に回っている」と、ニューヨーク・タイムズは報じている(7)。いまや、科学者をリーダーとする大衆行動は影をひそめ、プロの政治家によるロビー活動が復活した。あたらしい国防問題--MIRVとSALT--が登場した。

 1969年8月7日、セーフガード・システムは、わずか1票差で上院を通過した。

 ニューヨーク・タイムズ紙上に現れたABM賛成派の論理は、反対派の論理にくらべて、ずっと貧弱であった。結局、ABM賛成派というのは、要するに政府そのものなのであって、自己の決定をあらかじめ正当化しておく必要を持たず、反対派の攻撃を待って個別撃破していけばいいという楽な立場にあったことは否定できない。賛成派があげたほとんど唯一の積極的理由というのは、都市住民に対して”最小限の防護”を与えよう--不十分だろうが、ないよりはまし--というものであった。反対派は、これに対して正面から答えようとはしていない。逆に、反対論の重要な背景として、論争の全期間を通じて高い頻度を示した”休戦気分”も、賛成派によって真剣に答えられたことはなく、上の2つの争点が、いすれも価値または現状の認識にかかわる不一致であったことを示している。

 ABM反対派は、ABMの代替案として、”伝統的核抑止”か”軍縮交渉”のいずれかをあげている。前者は、かえって攻撃用ICBMの軍拡競争をもたらすおそれがあるばかりでなく、ウォールステッター博士が指摘するように、報復用ICBMが敵の第1撃で全滅するのを免れるため、レーダーの早期警報程度で報復ミサイルを発射することにつながり、かえって危険極まりない。後者は戦略論とは次元を異にする。ついでに、科学者グループとそれ以外の区別について一言すれば、科学者グループは”伝統的核抑止”をより好み、科学者以外のグループは”軍縮交渉”をより好む傾向がある。

結論

.フレキシブル・システム

 先に述べたとおり、このABM論争においては、論争の最終段階を除いて、ABM反対派の方が一貫して攻勢を取り続け、これに対する賛成派の論理はきわめて貧弱であった。しかるに、賛成派の方には、おそろしく強力な味方がいて、これが結局、賛成派の勝利をもたらした。”フレキシブル・システム”がそれである。

 ABM反対派が、提案されているABMシステムの設計に内在する特定の弱点に対して攻撃をかけると、一定期間後、ABMのシステム設計の方が変更され、その弱点を回避するか克服してしまう。おかげで、ABM反対派が掲げた技術的ないし戦略的な論拠は次々と奪われていき、政治的な争点だけが赤裸々な形で最後まで残ることになる。

 第1図のABM進化記録を参照されたい。ABMシステムの基本設計は、すでにナイキ・ジュースの段階で完了しており、1962年には、かなり理想的な条件ではあるが、カリフォルニア州バンデンバーグ基地から打ち上げられたICBMを、北太平洋上のクエゼリン島から発射されたジュース・ミサイルが、みごとに迎撃している(ただし、核弾頭を装備していないので、実際に打ち落としたわけではない)。

 これ以後、セーフガード展開にいたるまで、第1図に見られるような数々の改良がなされているが、そのうちアメリカの戦略思想という点でいちばん重要なものは、おそらく、防衛対象に関する都市防衛から基地防衛への大転換であろう。アメリカの核抑止体系が、(1)基地を都市から完全に隔離すること、(2)敵攻撃を基地にひきつけるため、都市を無防備にしておくこと、(3)敵攻撃をすべて吸収した後でも敵の都市を報復破壊できる程度の戦力を残すため、基地を防護すること--の3本の柱から成り立っていることを如実に示したのが、この転換であった。ABMによる都市防衛が上記(2)に違反するものである一方、これを基地防衛に転用することは(3)によって強く支持されているのである。

 いずれにせよ、アメリカの戦略思想そのものを論じるのは本稿の目的ではない。ここでとくに問題にするのは、上のような転換が、仮想敵国であるソ連(または中国)の側の現実の戦略転換によってではなく、むしろ、ABM論争という巨大な思考実験の直接の結果として出てきたという点である。このことは、ABM論争そのものが、ABMに関する政策決定の内側にあったと考えない限り説明がつかない。

 アメリカは民主主義の国だから、政策決定の過程に民衆の意思が反映するのは当然だ--といえるほど、実は、これは当然ではない。アメリカ大統領は、歴史的に、議会によって代表されるさまざまのインタレストから中立であろうとする意欲を持っており、とくに国防政策に関して最もこの傾きが強い。にもかかわらず、都市防衛を目的とするセンチネルは、大衆の轟々たる叫びの中で、基地防衛を目的とするセーフガードに変身していった。

.エピローグ

 以上で、伝統的な党派政治とは異なるレベルの志向を持つあたらしい政治勢力(反ベトナム戦争、反SST、反経済成長、ついには反進歩というマイナス・シンボルまで持ち出すにいたった若い世代のグループ--エドワード・ケネディは、このグループの支持を得ようとして、反ABMにコミットしていったとみられる)と、この種の巨大プロジェクトとしては信じられないほどフレキシブルな国防政策の応酬に関する記述を終わる。このあと、フレキシブル・システムのABMは、もう一度、そのたぐいまれな融通性をみせる。ニクソン大統領の予言どおり、1972年のSALT-Iは、少なくとも一時的には、ABM計画の大削減を実現した。

 ABM問題はまだ終わっていない。SALI-IIがつまずいたら、ABMは、おそらくあたらしい衣をまとって再登場することになろう(8)


 追記 2001年12月13日、ブッシュ(2世)大統領はABM条約の破棄を宣言した。

1.ニューヨーク・タイムズ1969年2月20日号第11ページ。

2.同上1969年2月16日号第11ページ。

3.同上1969年3月15日号第16ページ。

4.詳しくは、The Journal of the Operations Research Society of America、1971年9月号参照。

5.ニューヨーク・タイムズ1969年6月13日号第12ページ。

.同上1969年4月17日号第1ページ。

7.同上1969年6月23日号第1ページ。

8.「投擲体を使うABMは、飛んでくるピストルの弾丸をピストルで打ち落とすようなものだ」というハンス・ベーテ博士の言葉は、この技術の難しさをよく物語っている。現に、1969年下院外交委員会の「国家安全保障政策と科学的開発」公聴会では、証言した3人の科学者のうち2人までが、レーザー装置を衛星に搭載したミサイル迎撃システムの可能性について述べている。これは、もはや、ABM(anti-ballistic missile)とはいえない。最近の国防関係者は、これより広い意味のBMD (ballistic missile defense) という言葉を使いはじめている。大気圏内では使い物にならないレーザ―は、攻撃用兵器とはなり得ない。まさに専守兵器である。しかも、アメリカ国防当局の悩みの種だった国土の広さは、狭い日本の場合問題ではない。本稿が、ABMについて、他人事でない関心をすこしでも喚起し得たとしたら幸甚である。

 第2表 ABM争点分析表

- ABM反対の理由・条件 ABM賛成の理由・条件
段階 科学者 科学者以外 科学者 科学者以外
1 2 3 4 5 % 1 2 3 4 5 % 1 2 3 4 5 % 1 2 3 4 5 % 1 2 3 4 5 % 1 2 3 4 5 %
100 - 1 1 - - 2 - - 1 - - - 1 - - 2 1 - - 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
101 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
102 - - - - 1 1 - - 1 1 - - 2 - - 1 1 - 1 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
103 - - - - 2 2 - - - - - - - - - - - - 2 2 - - - - - 2 2 - - - - - - - - - - - - 2 2 -
104 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 -
105 - - - 1 1 2 - - - - - - - - - - - 1 1 2 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
106 - 1 - - - 1 - - - - - - - - - 1 - - - 1 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
107 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 -
108 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 2 2 - - - - 1 - 1 - - - - 1 2 3 -
109 - - - - 3 3 - - - - - - - - - - - - 3 3 - - - - - 3 3 - - - - - - - - - - - - 3 3 -
110 1 - - - - 1 - - - - - 1 1 - - - - - - - 1 - - - - 1 2 - - - - - - - - - - - - - - -
111 - - 2 - - 2 - 1 1 1 - - 3 - - 1 3 1 - 5 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
112 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
113 1 1 - - 1 3 4.2 - 1 - - - 1 1.6 1 2 - - 1 4 3.4 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 -
114 - - - - 4 4 5.6 - - - - - - - - - - - 4 4 - - - - - 2 2 - - - - - - - - - - - - 2 2 -
115 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
116 - - - - - - - - - - 1 - 1 - - - - 1 - 1 - 1 1 - - - 1 - - - - - - - - 1 1 - - - 1 -
117 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
118 - - - - - - - - - 1 - - 1 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
119 1 - - - - 1 - - - 1 1 - 2 - 1 - 1 1 - 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
120 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - 2 - - 1 - - - 1 - 1 2 - - - 3 -
121 - - 2 1 1 4 5.6 - 1 1 2 - 4 6.5 - 1 3 3 1 8 6.8 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
122 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 2 1 - - 3 - - - - 1 - 1 - 2 1 1 - - 4 -
123 - 1 2 1 1 5 7.0 - 1 1 3 1 6 9.7 - 2 3 4 2 11 9.3 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 -
124 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1 - 1 - - - - 1 - 1 -
125 - 2 1 2 4 9 12.7 - 1 1 2 - 4 6.5 - 3 2 4 4 13 11.0 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
200 - - - - 3 3 - - - - - - - - - - - - - 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
201 - 1 1 1 - 3 4.2 1 1 1 2 2 7 11.3 1 2 2 3 2 10 8.5 - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - - 1 1 -
202 - 1 3 1 1 6 8.5 1 - 4 4 - 9 14.5 1 1 7 5 1 15 12.7 - 1 - - - - - - - - - - - - 1 - - - - 1 -
203 - - - - - - - - - - 1 - 1 - - - - 1 - 1 - - 1 - - - 1 - - - - - - - - 1 - - - - 1 -
204 - 1 1 1 1 4 5.6 - 1 2 4 - 7 11.3 - 2 3 5 1 11 9.8 1 - - - - 1 - - - 1 - - 1 - 1 - - 1 - 2 -
205 - 2 - - - 2 - - 1 1 1 - 3 - - 3 1 1 - 5 - - - - - 1 1 - - - - 1 - 1 - - - - 1 1 2 -
206 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
207 1 - - - - 1 - - - - 1 1 2 - 1 - - 1 1 3 - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - 1 1 -
208 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1 - 1 - - - - 1 - 1 -
209 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
210 - - - 1 - 1 - - - - 2 - 2 - - - - 3 - 3 - - - - - - - - - - - 1 - 1 - - - - 1 - 1 -
211 - - 1 - 1 2 - - - 1 - - 1 - - - 2 - 1 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
212 - 1 1 - 2 4 5.6 - 1 - 2 - 3 4.8 - 2 1 2 2 7 5.9 - - - - - - - 1 1 - - - 2 - 1 1 - - - 2 -
213 - - 2 - - 2 - - - 1 - - 1 - - - 3 - - 3 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
4 12 17 9 29 71 100 2 11 17 27 5 62 100 6 23 34 36 34 133 100 3 6 1 - 14 24 - 2 2 - 7 2 13 - 5 9 1 7 16 38 -